新潟市潟のデジタル博物館

潟を知る

市街地に近接しながらも広大な水面にハクチョウが訪れる潟

鳥屋野潟とやのがた

鳥屋野潟

潟の概要

 新潟市中央区南部の市街地にあり、周辺には公園や公共施設が整備されています。北区福島潟に次ぐ、新潟市で2番目に大きな潟です。
 鳥屋野潟の成因時期については定かではありませんが、約3,000 年前に、現在の鳥屋野潟付近に海岸線が来ており、また、信濃川流域沖積層の堆積年代の測定などにより、約1,000 年前以降の初期には、潟湖化していたと解釈されていることから、約3,000 年~1,000 年前には鳥屋野潟の原型ができていたと考えられます。
 鳥屋野潟からの排水は、かつては栗ノ木川を通じて信濃川河口部に排水されていましたが、1964(昭和39)年の新潟地震以降、栗ノ木川下流への通水は遮断され、鳥屋野潟放水路を通じて、親松排水機場(1968 年運転開始)から信濃川に排水されています。鳥屋野潟の常時水位は、周辺からの排水と豪雨時の洪水調節を目的として、親松排水機場のポンプでT.P.マイナス2.5メートルに維持されています。なお、栗ノ木川下流(常時水面標高マイナス1.65 メートル)の浄化のため、竹尾揚水機場から1 日数時間2 立方メートル毎秒が栗ノ木川下流に揚水されており、鳥屋野潟の水は栗ノ木川―通船川を通じても、信濃川に排出されていることになります。
 鳥屋野潟流域のほとんどが海抜ゼロメートル地帯であり、洪水時には重要な貯留施設となります。現在、治水目的の湖岸堤の設計が行われていますが、環境保全に配慮した設計・工事が行われる予定です。
※)T.P. 東京湾平均海面(Tokyo Peil)

景観的特性

 鳥屋野潟南部は、ビッグスワン、県立鳥屋野潟公園、いくとぴあ食花などが立ち並び、開発が進んでいますが、その一角に、潟の水面を広く見渡せる「清五郎の一本松」と呼ばれる場所があります。その松の木のそばに、2009(平成21)年「水と土の芸術祭」で中学生らが制作した芸術作品「清五郎開拓八人衆」のモニュメントが並んでいます。
 この場所は、かつて清五郎集落を貫く清五郎川が鳥屋野潟にそそぐ河口であり、集落を守る囲い土手があった場所です。潟の水面を背景に市街地が見渡せる開放感のある憩いのスポットになっており、散歩やスケッチなどで楽しむ人々の姿が見受けられます。
 往時の鳥屋野潟の景観の素晴らしさについては、「鳥湖八景(ちょうこはっけい)」として、いまでも伝えられています。

清五郎一本松からの景色

潟の産物や賑わい

  排水機場の稼働(昭和20 年代以降)以前、鳥屋野潟は栗ノ木川と信濃川を通じて日本海とつながっていました。そのため、かつてはコイ・フナなどの純淡水魚のほか、ワカサギやマハゼ、スズキやサケなどの回遊魚や海産魚も漁獲されていました。現在でも、海産のメナダが漁獲されていますが、これは信濃川を遡上し、かんがい用などの揚水機を通じて鳥屋野潟に流入し、成長したものと考えられます。
 近年では、漁業従事者は少なくなっていましたが、このボラ・メナダを含め、コイやフナなど鳥屋野潟の魚を食する催しが開かれ、周辺のレストランが鳥屋野潟の魚をメニューとして提供する試みが行われるなど、潟の魚を味わえる機会が増えてきています。
 また、市街地に近接しながらも、広大な水面を擁する鳥屋野潟の魅力ある環境を発信するため、「とやの潟環境舟運」や「とやの物語」などのイベントが開催されています。

鳥屋野潟の動植物

 鳥類は180 種以上が確認されており、冬には4,000 羽を超えるハクチョウが飛来します。水域ではアサザ、コウホネ、ヒシなどの浮葉植物がみられます。重要種として新潟県固有種のエチゴモグラの生息も確認されています。

鳥屋野潟のくらし文化

 昭和20(1945)年代に大規模な排水機場が設置されるまでは、潟周辺の農耕は、腰まで水に浸かる低湿地の湛水田の中で作業が行われていました。潟底のベト(埃土・あいど)は、多量の有機質(植物腐植体)を含み、肥料効果が高かったため、田んぼに入れ肥料としました。また、ベトは低湿地の干拓土やアゼ作りにも使われていました。

基本データ

鳥屋野潟

面積:約158ha
水面標高:T.P.-2.5m
水源:河川・排水路
潟(湖沼)のタイプ:潟湖(海岸砂丘で閉塞され、海面の低下とともに平野のくぼ地に残された水面)

所在地

新潟市中央区鳥屋野ほか

交通アクセス

【車】
●高速道路新潟中央インターより5分
●新潟バイパス(国道8号)女池インターチェンジから10分
●亀田バイパス(国道49号)姥ケ山インターチェンジから5分
【バス】
●新潟駅万代口バスターミナル10番線から
「県庁経由新潟市民病院行き」→鳥屋野潟公園前下車
●新潟駅南口バス乗り場1番から
「新潟市民病院行き」「新潟市民病院経由曽野木ニュータウン・大野行き」→鳥屋野潟公園前下車

駐車場

県立鳥屋野潟公園(女池地区、鐘木地区)

関連施設

新潟県立自然科学館
潟に生息する動植物の展示や、鳥屋野潟の野鳥観察ができるコーナーがあります。
●鳥観庵(とりみあん)
県立鳥屋野潟公園(中央区鐘木)内の野鳥観察舎

関連動画

『とやの潟環境舟運 めざせ浮島テラス』
~水面標高マイナス2.5mながら水面積158haを誇る新潟市民の宝である鳥屋野潟で、新たな可能性を求めて~

●制作者からのコメント
2016年7月17日~18日、鳥屋野潟で初めてづくしの行事のビデオ映像です。 ①鳥屋野潟の中に人工浮島を造成 ②参加者は浮島へ舟を漕いで上陸 ③障がい者も車椅子カヌーで水辺を楽しむ ④スタバにひけをとらないカフェテラスコーヒーを味わう ⑤鳥屋野潟漁協による投網実演 ⑥レガッタとカヌーの試走レース ⑦ドローンでピザを浮島に届けての試食。そして何より、浮島から眺めるビックスワンや角田山、弥彦山の素晴らしかったこと。ビデオ映像をご覧あれ。

企画:とやの潟環境舟運実行委員会
空撮:王 毅 撮影:青山健次郎、加藤 功 編集:加藤 功

●再生時間 19分59秒