新潟市潟のデジタル博物館

潟を知る

市内で唯一ラムサール条約に登録されている潟

佐潟さかた

佐潟

潟の概要 

 佐潟は、新潟市西区の赤塚地区に位置し、上流側の小さな上潟(うわかた)と下流側の大きな下潟(したかた)の、大小二つの潟から成り立つ淡水湖です。1996(平成8)年に、周辺を含めた76 ヘクタールが日本で10 番目に、ラムサール条約湿地に指定されています。周囲は海抜約15~40 メートルの砂丘に囲まれており、その斜面はスイカやダイコンなどが作付される畑として利用されています。
 河川流入はなく、周辺の砂丘からの湧水で供給されています。水面標高は、下潟の出口にある水門で、T.P.プラス4.8 メートル程度に維持されています。排水は、その水門から荒江(あらいど)と呼ばれる排水路に入り、広通川の下をくぐり、旧広通江排水路を通り、旧広通江排水機場で新川に揚水され、海に至ります。
 ※)T.P. 東京湾平均海面(Tokyo Peil)

佐潟の動植物

 佐潟では、これまでに650種以上の植物や1,000種以上の昆虫類が記録されています。
 また、鳥類相も豊富で、これまでに210種の鳥類が確認されています。冬期はカモ類が多数越冬するのが特徴です。特に、コハクチョウの越冬数は毎年3,000羽以上で、越冬地として全国有数の場所となっています。

潟と人とのかかわり

 佐潟は昔から多くの人々が関わって保全されてきました。佐潟が位置する赤塚地域では、かつて、農業をはじめとしたすべての用水に潟の水を利用していました。潟の湧水を出やすくするため、夏の水枯れ時には潟にたまったドロや枯れた水草を取り除く「潟普請」と呼ばれる一斉清掃が地域住民総出で行われていました。
 また、佐潟の岸辺では、明治時代以前から稲作が行われており、田んぼの風景が広がっていました。春になると、耕作者が湖底から掻き揚げてきたドロ(植物遺骸)を舟で運び、有機肥料として利用しました。
このように、1960 年代(昭和40 年頃)までは農業用水池や淡水魚の良好な漁場として、また岸辺は水田として人々の生活にとってなくてはならないものであり、地域住民の直接的な関わりがありました。そのため、越後平野の多くの湖沼が姿を消していく中、佐潟は地域の人々によって、その生態系を維持した水辺が残されてきました。
 かつて、冬場はコイやフナ等の内水面漁業が行われていました。現在でも地域に密着した潟の管理が行われています。また、お盆の時期には、早朝、地域の人が舟に乗りハスの花の刈り取りをする姿が見られます。そこで刈り取られた佐潟のハスは盆花として地域で消費されています。

佐潟-生業編-
【動画】「潟の記憶」佐潟-生業編-

佐潟周辺自然環境保全計画

 1996(平成8)年にラムサール条約に登録されました。2000(平成12)年には『佐潟周辺自然環境保全計画』が策定され、地域住民をはじめ関係団体や行政が協力して、将来にわたり佐潟周辺の自然環境を保全することが図られています。また、2006(平成18)年に設置された『佐潟周辺自然環境保全連絡協議会』により佐潟での取り組みの報告・検討をはじめ、保全計画の進行管理が行われています。
 2014(平成26)年に再改定された第3 次計画では、「かつて里潟として人の手が加えられていたように、人との関わりの中で多の動植物が生息・生育する環境を守り育てていく」ことなどが目標設定されています。その実施の1つとして、佐潟の水質改善を目的に、2014~2015 年には大型機械を使用して浚渫を実施しています。また、2007~2017年には市が地域住民に委託し、ヨシの刈り取りや「ど」と呼ばれる、潟辺りの水路の再生などに取り組んでいました。
 2019年に改定された第4期計画では、環境・経済・社会のそれぞれがからみあう地域課題を解決するために、持続可能な開発目標(SDGs)の視点を取り入れています。

浚渫の様子

潟と人との新たな展開

 現在の佐潟と人々とのかかわりは、かつての佐潟と人々とのかかわり方と、異なるかたちでの新たな展開がみられます。潟のドロ揚げや清掃活動を地域住民が主体となり実施する現代版「潟普請・クリーン作戦」を行っています。
 また、佐潟観光協会主催の夏の佐潟まつりでは、水面に燈籠を浮かべたり、佐潟と歩む赤塚の会による潟舟の乗船体験も行われていたりと、佐潟の水辺に親しむ、さまざまな取り組みが行われています。

基本データ

佐潟

潟の面積:約44ha
ラムサール条約湿地登録面積:76ha
水面標高:T.P.+4.8m
水源:湧水
潟(湖沼)のタイプ:ため池(形成年代が異なる砂丘間の谷地に、道路を兼ねた堤防が横断する形で作られたことで、水が溜まってできたため池)

所在地

新潟市西区赤塚

交通アクセス

●北陸自動車「巻潟東IC」または「新潟西IC」から車で30分
●JR越後線「越後赤塚駅」より徒歩で約40分
●JR越後線「内野駅」より車で15分

駐車場

佐潟公園駐車場
●140台

関連施設

佐潟水鳥・湿地センター
●潟見鳥(かたみどり)野鳥観察舎

佐潟ガイドブック完成しました

十二潟、じゅんさい池、上堰潟に続く、4冊目となる佐潟ガイドブックを作成しました。佐潟に関する地形や生きもの、文化、保全の取り組みなど各分野の専門家の調査結果をまとめました。潟への理解と愛着を深める本ガイドブックを是非、ご覧になってください。

佐潟ガイドブック(PDF)