新潟市潟のデジタル博物館

潟を学ぶ

ラムサール条約

ラムサール条約とは

1971年2月2日にイランのラムサールという町で国際会議が行われ、ラムサール条約は採択されました。正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といいます。
世界中の重要な湿地とそこをすみかとする動物や植物を守る取り組みを進めるための条約です。
ラムサール条約には、湿地の「保全・再生」、「ワイズユース(賢明な利用)」、「交流・学習(CEPA)」という3つの柱があります。
これは、湿地を守ること、私たちの暮らしと心が豊かになるように湿地を活用すること、湿地の価値を学ぶこと、そのすべてが大切であるということです。
ラムサール条約で定義されている湿地は、潟だけではなく、水田、河川、湖沼、サンゴ礁、マングローブ林、湿原、遊水地、ダム湖などさまざまなものがあります。
2023年2月現在、世界ではラムサール条約に加入する国が170を超え、世界で2471か所の湿地が登録されています。日本では1980年にラムサール条約に加入し、現在53か所がラムサール条約湿地に登録されています。

ラムサール条約ロゴ
ラムサール条約の3つの柱

新潟市唯一のラムサール条約湿地「佐潟」

新潟市西区にある「佐潟」は1996年日本で10番目のラムサール条約湿地に登録されました。
佐潟では、地域住民が中心となって、湿地環境の保全とワイズユースの取り組みが進められています。
新潟県では、佐潟のほか、魚沼市にある尾瀬、阿賀野市にある瓢湖がラムサール条約湿地に登録されています。

佐潟空撮
ラムサール条約湿地の証書
保全・再生

●潟普請(かたふしん)
佐潟では、かつては「潟普請」と呼ばれる湖底の枯れた植物や泥をあげる清掃活動を行いながら、潟の保全を行ってき ました。かつての活動を参考に、現在では市民団体や地域住民が中心となって、現代版の潟普請として、湖底の泥上げやクリーン作戦が行われています。

潟普請

●佐潟周辺自然環境保全計画の策定
保全と利用のバランスを達成することを目指し、新潟市では2000年に「佐潟周辺自然環境保全計画」を策定しました。
その後、地域住民の参画を目的として、2006年に計画が改定されました(第2期計画)。計画改定後、地域住民をはじめとした地元団体、環境団体、有識者、行政からなる「佐潟周辺自然環境保全連絡協議会」が設置され、佐潟の自然環境保全と賢明な利用の推進に向けて、現在も定期的に協議が行われています。
2012年に「にいがた命のつながりプラン―新潟市生物多様性地域計画―」が策定され、新潟市全体の自然環境保全のあり方が示されました。2014年の2回目の計画改定(第3期計画)では,この計画に掲載された里潟の考え方をとり入れました。積極的に人の手を加えながら保全推進する取り組みが進められ、2019年には第4期計画として3回目の計画改定が行われました。この計画では環境・経済・社会のそれぞれがからみあう地域課題を解決するために、持続可能な開発目標(SDGs)の視点も加えられました。

佐潟周辺自然環境保全計画
佐潟周辺自然環境保全計画
ワイズユース

佐潟は古くから、周辺の灌漑用水源としての利用と、潟内の蓮根の採取や狩猟などにより、地域の人びとの生活に密接にかかわってきました。現在も佐潟のハスはお盆のお供え用として花が収穫されています。

交流・学習

小学生に佐潟での自然体験を通して、自然豊かな佐潟の魅力を感じてもらうための通年企画として、佐潟探検隊(さかたん)を実施しています。
また、地元団体が主体となり、佐潟周辺の小学校と連携した下潟のハスの再生に向けたプロジェクトのほか、潟舟体験を定期的に実施するなど、さまざまな取り組みが進められています。

潟舟体験

ラムサール条約湿地の潜在候補地「福島潟」・「鳥屋野潟」

環境省では、ラムサール条約湿地の登録を推進するため、2010年にラムサール条約湿地の国際基準を満たす湿地を、潜在候補地として全国で172か所を選定しました。
そのうち、地元住民等から登録への賛意が得られ、国内法による保護が整ったものから、締約国会議においてラムサール条約湿地への登録をすすめています。
新潟市内では、福島潟、鳥屋野潟が潜在候補地として選定されています。

福島潟(北区)

かつてはヨシ刈りが盛んに行われていた福島潟ですが、ヨシが使われなくなった現在では、ヨシ焼きを行っています。
ヨシ焼きは早春の風物詩になっています。

福島潟のヨシ焼き
鳥屋野潟(中央区)

鳥屋野潟湖畔には、かつてボート小屋が立ち並び、レジャーの場として人気でした。
現在は鳥屋野潟の魅力を知ってもらおうと、さまざまな団体によるイベントが年間を通して開催されています。

鳥屋野潟市民探鳥会