新潟市の潟で確認されている鳥類
潟の広大な水面はガン・カモ類やサギ類などの水鳥の生息空間となり、周辺部のヨシ原、ヤナギ林やオニグルミ林は草原性、森林性の鳥類の生息空間となっています。潟周辺では繁殖のために渡来する夏鳥に比べて、越冬のために渡来する冬鳥の方が種類数も個体数もはるかに多く見られます。冬の餌場となる水田地帯に隣接する越後平野の潟は、ガン・カモ・ハクチョウ類などにとって欠かすことができない貴重な生活空間となっています。
希少種:新潟市レッドデータブック掲載種
- EX(絶滅)
- EW(野生絶滅)
- EN(絶滅危惧Ⅰ類)
- VU(絶滅危惧Ⅱ類)
- NT(準絶滅危惧)
- LP(地域個体群)
外来種:人為的に持ち込まれた種
- 特定外来生物:特定(外来生物法)
- 緊急対策外来種 :緊急 (生態系被害防止外来種リスト)
- 重点対策外来種 :重点 (生態系被害防止外来種リスト)
その他:種類
- 留鳥:季節移動をせずに同じ場所で繁殖、越冬する
- 漂鳥:山地と平野部の間など小規模な渡りをする(留鳥か漂鳥か区分しにくいこともある)
- 夏鳥:春に飛来して繁殖し秋に飛去する渡り鳥
- 冬鳥:秋に飛来して越冬し春に飛去する渡り鳥
ガビチョウ
江戸時代に持ち込まれた外来種。新潟市内では2013年初記録、2018年冬ごろから佐潟周辺で一年中確認されている。ツグミ類などの地上採餌性の野鳥と競合。
重点
キジ
日本の国鳥、尾が長くニワトリ大。オスは濃い緑色で繁殖期「ケーンケーン」と鳴く。
留鳥
オオヒシクイ
日本最大のガン、ヒシクイの一亜種で日本海側に多い。警戒心が強い。環境省準絶滅危惧(NT)、国の天然記念物。
冬鳥/NT
マガン
全長72cm。渡来する日本の雁で飛来数が一番多い。国の天然記念物。環境省準絶滅危惧(NT)
冬鳥/NT
コハクチョウ
新潟県で越冬する多くがコハクチョウ。オオハクチョウより小型だが体重7㎏ほど。ツンドラ地帯で繁殖する。
冬鳥
オオハクチョウ
コハクチョウに似るが嘴の黄色い部分が大きく体も一回り大きい。タイガ地帯で繁殖する。
冬鳥
オカヨシガモ
全長46㎝。オスは灰褐色でクチバシとお尻が黒いのが特徴。飛来数は少ない。
冬鳥
ヒドリガモ
全長48㎝。オスは頭が茶褐色、額がクリーム色。「ピュー、ピュー」と口笛のように甲高く鳴く
冬鳥
マガモ
オスは派手で黄色のくちばし、緑色の頭、メスは地味な羽色。佐潟で1万羽以上生息することもある
冬鳥
カルガモ
全長60cm。全体に黒褐色でオスメス同色。繁殖期にカルガモ親子の姿を見られます。
留鳥
ハシビロガモ
オスは全長51㎝、大きなくちばしはオスが黒色、メスが黄褐色で植物プランクトンをこしとる。
冬鳥
オナガガモ
オスは全長75cm、体は灰色で尾羽の中央羽2枚が長い。メスは褐色。人をあまり恐れない
冬鳥
トモエガモ
コガモくらいの大きさでオスは顔の巴模様が特徴的。希少種で環境省絶滅危惧II類 (VU)に分類。
冬鳥/NT
コガモ
池や川に数多くいる日本で一番小型のカモ。オスの羽色はカラフルでメスは地味。
冬鳥
ホシハジロ
オスは全長48㎝、体は灰色に見え頭は赤褐色、目が赤い。メスは褐色。食性は雑食。
冬鳥
キンクロハジロ
全長44cm。目が金色、頭や背が黒、翼の帯が白でキンクロハジロ。潜水して貝類を捕る。
冬鳥
ミコアイサ
和名ミコはオスが巫女の白装束のように見えることから。パンダガモとも呼ばれて人気。主に魚を食べる。
冬鳥
カイツブリ
全長26cmのカイツブリ科の小さい水鳥。 潜水して水生動物を食べ、水草で浮巣をつくる
留鳥
カンムリカイツブリ
全長56㎝。潜水して水生動物を食べる。冬鳥だったが近年潟での繁殖が増える傾向。
留鳥
カワウ
全長81cm。黒色で大きい。潜水して魚を捕え飲み込む。ぬれた羽を広げて乾かす。
留鳥
ヨシゴイ
夏鳥。ヨシ原に生息する日本最小のサギ。首を伸ばしヨシに擬態する。環境省準絶滅危惧(NT)
夏鳥
ゴイサギ
全長58cm。魚を捕る夜行性のサギで「夜烏」ともいわれる。樹上でコロニーをつくる。
夏鳥
アオサギ
全長93cm。日本最大のサギで体の上面、翼が灰色。水辺で小動物を捕える。
留鳥
ダイサギ
全長89cm。全身は白色でスラリとしている。長い嘴で水辺の小動物を捕える。
留鳥
チュウサギ
全長68cm。水田など水辺で小型の水生動物やバッタなどを捕える。環境省準絶滅危惧(NT)
夏鳥/NT
バン
黒っぽい体、くちばしは赤色で先は黄色。水辺に生息するが足に水かきはない。
夏鳥
オオバン
カモの仲間でなくツル目クイナ科に属する。黒い羽色に白い額と嘴が特徴。主に水生植物を食べる雑食。
留鳥
カッコウ
夏鳥として飛来。カッコウと鳴き、ヨシ原に巣をつくるオオヨシキリに「托卵」を行う種として有名
夏鳥
タゲリ
背、翼は光沢のある緑黒色。白と黒模様をみせてフワフワと飛ぶ。「ミュー ミュー」と鳴く
冬鳥
タシギ
枯草の保護色になる褐色の体でくちばしが長い。泥の中のミミズや昆虫類を探して食べる。
冬鳥
コアジサシ
夏鳥として飛来し砂浜や河原に巣をつくる。水面にダイビングして魚をとらえる。環境省絶滅危惧II類(VU)に分類
夏鳥/NT
ミサゴ
暗褐色で下面が白い。ホバリングして水中に突っ込み魚を捕らえる。環境省準絶滅危惧(NT)に分類。
留鳥/NT
オジロワシ
全身濃い茶色で翼長220㎝。白い尾がトレードマーク。主に魚、潟ではカモも捕食する。
冬鳥/EN
チュウヒ
翼開長137cm。ヨシ原の上をV字飛行し小動物を捕食する。環境省絶滅危惧IB類 (EN)
冬鳥/NT
オオタカ
日本の鷹類の代表的な種。カラスほどの大きさでハトやカモを捕まえて食べる。環境省準絶滅危惧(NT)
留鳥/VU
ノスリ
翼開長137cm。背面は褐色、腹面は淡褐色の羽毛。小鳥やネズミを捕食、カモも狙う。
冬鳥
カワセミ
美しい外見から野鳥ファンに人気で「空飛ぶ宝石」と呼ばれる。水中に飛び込み小魚などを捕る。
留鳥
コゲラ
全長15cm。日本最小のキツツキ。「ギイー ギイー」と鳴き、虫を探して木を上下する。
留鳥
ハヤブサ
カラス大で頬に髭状の斑紋がある猛禽。飛行速度は100 ㎞/h。環境省絶滅危惧II類 (VU)
留鳥/NT
モズ
全長20cm。オスは全体にオレンジ色の羽毛。眉斑が目立ちくちばしはタカのようなカギ型。
留鳥
シジュウカラ
公園や庭など平地から山地、湿地に生息。オスは喉の黒い縦線がメスより太い。「ツーピツーピ」などとさえずる。
留鳥
ツバメ
背は光沢のある藍黒色で、喉と額が赤い。昆虫を空中で捕食する。軒先などに巣を造る。
夏鳥
ウグイス
スズメとほぼ同じ大きさ。「ホーホケキョ」とさえずり春告鳥(ハルツゲドリ)と呼ばれるが姿が見えないことが多い。
留鳥
エナガ
全長14cm。可愛らしい顔で白く丸い体で尾が長い。約8グラムと軽く「ジュリリリ」と鳴く。
留鳥
オオヨシキリ
東南アジアから飛来する夏鳥で「ギョギョシー」と鳴きヨシ原でなわばりを主張。ウグイスの仲間。
夏鳥
ツグミ
全長24cm。全体的に茶褐色~黒褐色、羽縁は赤褐色。白い眉斑と胸のまだら模様が特徴。
冬鳥
ジョウビタキ
人里や公園でもよく見られる身近な冬鳥。「ヒッ」という甲高い声から「火焚き(ヒタキ)」の名が付いたという。
冬鳥
セグロセキレイ
水辺に住む小鳥。頭から背にかけて濃い黒色で尾羽を上下に振る姿が特徴的。分布が縮小する日本固有種。
留鳥
ホオジロ
全長15cm。全体は赤味のある褐色で頬に白と黒の模様。春、オスは草木の上でさえずる。
留鳥
カシラダカ
全長15cm。冠羽があり体上面は褐色、胸から下が白い。地鳴きは「チッ、チッ」。
冬鳥
アオジ
緑や黄色の羽色は樹林の中では目立たない。地上で草の種子を食べる。さえずりはゆっくりと高く心地よい声。
漂鳥
オオジュリン
全長18cm。全体に褐色、地鳴きは「チュイリーン」。葦の茎を割って中の虫を捕える。
冬鳥
ハクガン
全長70㎝。全身白い雁、初列風切が黒い。日本では絶滅もハクガン復元計画により増加中。環境省絶滅危惧IA類 (CR)
冬鳥/VU
シジュウカラガン
全身がマガンより黒味を帯び、両頬が白い。日本では絶滅も羽数回復計画により増加中。環境省絶滅危惧IA類 (CR)
冬鳥/VU
ハジロカイツブリ
全長30㎝。冬羽はのどから腹にかけて白く、他が黒い。潜水し魚などを捕食する。
冬鳥
クイナ
全長29cm。頭から背は暗褐色で、縦斑がある。警戒心が強く湿地の藪の中にいる。足がしっかりして素早く動く。
夏鳥
ハクセキレイ
全長21cm。尾が長いセキレイの仲間。白い顔に目を通る細い黒線がある。「チチン チチン」と鳴く。
留鳥
執筆者
佐藤 安男(新潟県水鳥湖沼ネットワーク)
写真提供者
【大坂鉄男氏】ガビチョウ
【水の駅「ビュー福島潟」】ヒドリガモ、ミコアイサ、ハヤブサ、シジュウカラガン