新潟市の湖沼で確認されている両生類
両生類は、一般的に水辺や水中に産卵し、ふ化した幼生は水中で育ちます。そして、変態上陸して、水辺周辺の草地や林で成長する種が多いです。成熟すると繁殖のために水辺に集まります。
ここでは、新潟市の淡水域で現在見られる種に加えて、これまでに記録されたことのある種も紹介しています。説明の後に大まかに、◎普通に見られる、○数は少ないが生息、△稀だが近年確認記録がある、▲現在確認できない を表示しました。
希少種:新潟市レッドデータブック掲載種
- EX(絶滅)
- EW(野生絶滅)
- EN(絶滅危惧Ⅰ類)
- VU(絶滅危惧Ⅱ類)
- NT(準絶滅危惧)
- LP(地域個体群)
外来種:人為的に持ち込まれた種
- 特定外来生物:特定(外来生物法)
- 緊急対策外来種 :緊急 (生態系被害防止外来種リスト)
- 重点対策外来種 :重点 (生態系被害防止外来種リスト)
アカハライモリ(イモリ科)
日本固有種で、本州・四国・九州に分布する。求愛行動に地方差が知られ、大きく4系統に分かれる。池沼や緩い流れの小川などに生息する。
○/EN/水生
アズマヒキガエル(ヒキガエル科)
日本固有種で、東北地方から近畿地方、山陰地方北部に分布する。海岸域から高山まで広く生息し、長い紐状の卵塊を産む。
○/NT/幼生水生
ニホンアマガエル(アマガエル科)
日本・朝鮮・中国に分布する。指先に吸盤を持つ。乾燥に比較的強く、市街地にも生息する。気温や湿度の変化で体色を緑色から灰色まで変化させる。
◎/幼生水生
ニホンアカガエル(アカガエル科)
日本固有種で、本州・四国・九州に分布する。ヤマアカガエルに似るが、背側線が鼓膜後方で曲がらずにますっぐ伸びる。産卵期は早く、雪融け直後に始まる。
△/EN/幼生水生
トノサマガエル(アカガエル科)
関東から仙台にかけたエリアを除く本州・四国・九州・朝鮮・中国・ロシア沿海州に分布する。低地の池沼や水田に生息する。トウキョウダルマガエルとの交雑が知られ、識別困難な個体もいる。
△/VU/幼生水生
トウキョウダルマガエル(アカガエル科)
新潟県・長野県・関東から仙台にかけたエリアに分布する。低地の池沼や水田に生息し、トノサマガエルとの交雑が知られ、識別困難な個体もいる。
△/EN/幼生水生
ウシガエル(アカガエル科)
北米原産の外来種。1918年に食用として輸入されたが、養殖場から逸出して野生繁殖している。体長は15cmを超える。産卵数は数千〜数万個で、幼生で越冬する。
◎/特定/幼生水生
ツチガエル(アカガエル科)
本州・四国・九州・朝鮮・中国に分布する。佐渡には近縁種サドガエルとともに分布する。背面にはイボ状隆起が並ぶ。幼生で越冬する個体もいて、大型化する。
△/幼生水生
シュレーゲルアオガエル(アオガエル科)
日本固有種で、本州・四国・九州に分布する。モリアオガエルより小型で虹彩が黄色。産卵は泡巣を田圃の畦などの土中で行うことが多い。和名は、ドイツの生物学者ヘルマン・シュレーゲルに因む。
○/幼生水生
モリアオガエル(アオガエル科)
日本固有種で、本州・佐渡島に分布する。シュレーゲルアオガエルより大型で、虹彩が赤色。指先の吸盤は発達し、樹上生活をする。泡巣は水辺の枝先や草むらなどに産む。
○/NT/幼生水生
執筆者
野村 卓之(にいがた貝友会・日本両生類研究会)
写真提供者
【井上信夫氏】トウキョウダルマガエル、ウシガエル、シュレーゲルアオガエル