新潟市の湖沼周辺に生息するクモ類
クモ類については、特に潟環境のみ依存した種類はみられません。しかし、潟の水辺や周辺の草地等には多数のクモ類が生息しています。クモ類は肉食で昆虫類などを捕まえて食べています。潟環境には様々な種類の昆虫類がたくさんいます。こうした昆虫類をねらってクモ類も潟環境に棲んでいます。
クモ類は潟環境にうまく適応して生息しています。水面をアメンボのように浮き走り回るハシリグモの仲間、アシナガグモの仲間はイネ科の細長い葉の間に足を延ばして隠れています。フクログモの仲間はオギやススキなどイネ科の葉を上手に折りたたんで、巣や産卵に利用しています。
このページでは、わずかですが潟環境で普通にみられるクモ類を紹介します。
希少種:新潟市レッドデータブック掲載種
- EX(絶滅)
- EW(野生絶滅)
- EN(絶滅危惧Ⅰ類)
- VU(絶滅危惧Ⅱ類)
- NT(準絶滅危惧)
- LP(地域個体群)
外来種:人為的に持ち込まれた種
- 特定外来生物:特定(外来生物法)
- 緊急対策外来種 :緊急 (生態系被害防止外来種リスト)
- 重点対策外来種 :重点 (生態系被害防止外来種リスト)
ナガコガネグモ(コガネグモ科)
メスの体長は20~25mm、オスは10mmほどで小さい。メスの腹部は、黄色に黒い縞模様があり、目立つ。草地などに円網を張りその中央に止まり、危険を感じると、網をゆすって威嚇する。
ナカムラオニグモ(コガネグモ科)
メスの体長は10mm前後、オスはメスより小さい。草地などに円網を張り、網の付け根の葉や穂先を丸めて居住する。北方系のクモで新潟県では比較的普通にみられる。
ウヅキコモリグモ(コモリグモ科)
メスの体長は6~10mm、オスはやや小さく、体は黒い。徘徊性でメスは卵のうを腹部末端に付着させて持ち運ぶ習性がある。本種はコモリグモでは最も普通にみられる。
スジブトハシリグモ(キシダグモ科)
メスの体長は15~20mm、オスはやや小さい。ややずんぐりとし、体色の変異も少ない。湿地の水辺に生息し、危険を感じると水面を走って逃げる。水中に潜ることもある。
イオウイロハシリグモ(キシダグモ科)
メスの体長は18~28mmで大型。オスはかなり小さい。体色の色や斑紋の変異が非常に多い。草地のほか林縁など幅広く生息し、草や低木の葉上で足を広げて獲物を待ち伏せする。
カバキコマチグモ(フクログモ科)
体長は10~15mm。ススキなどの葉を折り曲げて居住する。徘徊性。産卵はススキなどの葉をちまき状に巻いて産卵する。孵化した子グモは親を食べて育つ。噛まれると痛い。
オスクロハエトリ(ハエトリグモ科)
メスの体長は9~11㎜、オスはやや小さく体全体が黒い。ヨシやオギ群落などの水辺にみられる。徘徊性で、飛んでくる昆虫を捕まえる。
ヤハズハエトリ(ハエトリグモ科)
メスの体長は9~11㎜、オスはやや小さい。写真はオスで、体全体が黒色で、腹部に白い矢はず状の斑紋が目立つ。メスはオスクロハエトリに酷似している。
執筆者
山浦 知雄(越佐昆虫同好会)
参考文献
- 新海栄一(2006)日本のクモ.文一総合出版
- 小野展嗣(2009)日本産クモ類.東海大学出版会
写真提供者
【井上信夫氏】ナカムラオニグモ、ウヅキコモリグモ、スジブトハシリグモ、オスクロハエトリ